魔獣王

スーパーファミコンの『魔獣王』をプレイしました。




魔獣王とは!
「箱付き10万円、カセットのみ2 - 3万円で取引された実績もある」
Wikipediaにも書いてある、SFCでも屈指のプレミアゲーのひとつ。
……だったのですが、それがゲーム関連の商品を販売していて
近年はレトロゲームの復刻やFC用の新作なども手掛けている
コロンバスサークルという会社により今年の5月に復刻再販。
6000円前後というお手ごろな価格でこうして私の手元に届いたのでした。
Amazon見たら今はもう3千円台で買えるようですね。


(SFC/SFC互換機用) 魔獣王

(SFC/SFC互換機用) 魔獣王


元はKSSという会社により95年に発売された作品。
再販版は2018年の5月にコロンバスサークルからの発売で、
権利関係の都合からかカートリッジの色が黒くなっているほか、
箱やゲーム内などでの権利表記も、もとはKSSとなっていたところが
現在権利を持っているSoftgarageという会社名に置き換わっています。
それ以外のゲーム内容には変更はなく、説明書や外箱のデザインなども、
未確認ですがどうやら当時のものが再現されてるっぽい感じです。


主人公アベルの元親友でもある狂信者ベイヤーは、
魔王の復活のためにアベルの妻と娘を誘拐した。
復活した魔王の力により、異形の生物が跋扈する魔界が地上に出現。
妻と娘を救うため、単身魔界の門をくぐるアベル
魔物との熾烈な戦いを繰り返すうち、アベルは魔獣へとその姿を変えていく……!
というのがストーリー。


ゲーム内容はオーソドックスな横スクロールアクション。
主人公アベルを操作して、地上に出現した全6ステージの魔界を攻略します。
1面が始まる前にオープニングステージがありますが、
魔物と化したベイヤーと戦うほぼイベント戦のような内容ですぐ終わるので、
実質的には全6面といっていいと思います。
ボスを倒すと出るクリスタルを取ると魔獣に変身し、
アクションが変化するのがこのゲーム最大のウリであり面白いところ。
あと中ボス戦が多いのも特徴的ですね。
残機・ライフ併用制。ある程度スコアを稼ぐごとにライフ上限が増える。
いわゆる戻り復活で、コンティニューするとステージの最初から。
コンティニューは回数無制限。ステージクリアしても体力回復しない仕様。
時間制限あり。中ボスを倒すごとに残り時間が増えます。


操作方法。
十字キー左右で移動、下でしゃがみ。
Yボタンでショット。Bボタンでジャンプ。
Yを押し続けるとライフの下のゲージがたまっていき、離すとタメ撃ち発射。
ジャンプの下降中に下を押しながらYで急降下キック。
ジャンプ中にもう一度Bを押すと2段ジャンプになります。
しゃがみ中にBボタンで前方に高速移動。
主人公には開始時の人間状態のほかに複数の魔獣形態がありますが、
操作自体はどの形態でも共通です。
ただし各アクションの性能・挙動は形態によって変化します。
人間時のショットは銃を撃ちますが、
赤の魔獣形態では回転しながら飛ぶカッターのようなものを発射。
緑の魔獣形態では手からレーザーを発射。
人間時では下+Bでローリングしますが、緑魔獣だと一定距離瞬間移動したり。
そんな具合です。ボタンの割り当ては、タイトル画面で
セレクトを押すと行けるオプションから変更可能。


アイテムについて。
基本的にアイテムは触れただけでは取れず、しゃがんで取得します。
体力回復の青オーブと画面内の敵全滅の赤オーブは固定配置。
一部のオブジェクトを壊すと出る場合もあります。
1面と5面では、特定の場所を通過するのに「鍵」が必要になります。
これは中ボスを倒すと手に入るので、普通に進んでればわかるはず。


それから1面開始時に主人公についてくる「妖精」。
主人公が攻撃すると同時に敵に体当たりして援護してくれるほか、
常に攻撃判定を伴っているので、うまく使えば
突っ込んでくるザコを撃墜したりもできます。
主人公のライフがゼロになったときに全回復してくれて消滅し、
以降ミスから再開しても復活しないのですが、難易度NORMALなら
ゲーム中に2箇所、アイテムのような扱いで再取得できるところがあります。
取った瞬間にライフ全快と画面内の敵全滅の追加効果つき。
難易度HARDだとこれが撤去されてて、失ったら2度と取れません。


そしてこのゲームのメインとも言える「呪いのクリスタル」。
1、2、4、5面のステージボス撃破時に出現して、
ゆっくりと色を変えながら浮遊。攻撃すると地面に落ち、それを取ると、
取った時のクリスタルの色に応じた魔獣形態に変身します。
一度魔獣形態になったら、ミスやコンティニューしても人間には戻れず、
もう一度クリスタルを取るまでは他の形態になれません。
魔獣状態のときは、各種アクションの性能が変化するほか、
一部の人型の敵を倒した後に残る死体の前でしゃがむと、
死体をガツガツと食って回復(!)できるようになります。
何気に食事中は無敵なので、回避にも有効。


赤形態はクセが少なく比較的使いやすい。通常攻撃のカッターは
回転軌道で少し上下方向にずれた敵にも当てられる。
緑形態のレーザーは連射性が低いが威力は高い。
瞬間移動は隙が大きい上、消えてる時でも実は判定は完全には
消えてないらしく、敵をすり抜けたりできず不便。
青形態は移動・攻撃ともに使いやすいが、図体がでかいのがネック。
食らい判定のサイズ自体は他の形態とほぼ(全く?)変わらないようだが、
細かい回避がしにくい。通常弾の打点が高いのも敵によっては当てにくい。


これらに加えて、同じ色のクリスタルを3連続で取ると
より強力な上位形態になれたりもします。
また、クリスタルは取らずにしばらく放っておくと消滅するので、
魔獣にならずに人間のままゲームを進めることもできます。
挙動だけでいうと実は人間形態が一番使いやすい気もしますが、
火力不足感は否めず。タメ撃ちの射程も一番短い。
基本的なことはそのくらいでしょうか。


以下感想。
まずとにかく、よくぞこれを復刻してくれた!と
コロンバスサークル様ならびにSoftgarage様には感謝せねばなりますまい。
元版はアホみたいに高騰して中古でもなかなか手が出せない値段になってた、
というか現在進行形でアホみたいな高値がついてますからね……。


普通にゲームとしてもなかなか面白い。
ステージ道中は、正直ちょっと淡白というか単調というか、
ザコ敵の種類が少なめで、配置もさほど練られてる感じではなく。
縦にスクロールする場面もないので、やや起伏に乏しい印象も受けます。


しかしながら、ひとつのステージに複数回の中ボス戦があり、
これがなかなか熱い。
一体一体のボスの挙動などはそこまで凝っているわけではないですが、
このゲームはステージクリアでライフが回復しないので、
ノーコンティニューやノーミスクリアを目指すなら、
しっかりパターンを作り、ダメージを抑えて勝つ必要があります。
そして、ほとんどのボスはちゃんとそれができるように作られてます。
人間形態だと敵を食って回復できないので
一層難易度が上がるようになってるのもやり込み向きでよく出来てる。


あと凝ってるわけじゃないと言いつつも、SFCならではの
拡大縮小・回転処理を使ったボスもそれなりに出てきて、
その辺は抜かりない感じ。しっかり作られてます。
2面の目玉とか3面の疾走する巨大な蟲とかは迫力十分。


演出面も、1面開始早々でっかい芋虫に追っかけられたり、
3面で巨大列車を壁に突っ込ませて魔界城に入っていく展開など、
熱い展開が目白押し!……と言いたいところなのですが、
これに関しては、画面の展開に対して音関係の演出が
追い付いてない感も若干あったかな。中ボス戦の曲が1種類しかないので
一部の場面では雰囲気に合ってない気もしたり、
上記の列車が城壁に突っ込むシーンも、突っ込んだ効果音が
敵を倒した時と同じく単発で「ボン」と鳴るだけなので、
いまひとつ迫力不足に感じたり。ちょっと惜しい。


そんなこんなで、いくらか惜しい点はありますが、
SFCのアクションゲームとしては十分に楽しめる内容です。
硬派な人はノーミスクリアや人間状態でクリア、
妖精を失わずにクリアなど、いろいろやり込んでみると楽しいし、
そういう楽しみ方ができるバランスにちゃんとなってると思います。


私はというと、難易度NORMALをノーミスでグッドエンド、
さらに人間状態で妖精を失わずノーミスクリアも達成。
HARDもやり込みたいところだったのですが、
相変わらず積みゲーが溜まってるし、
プンゲのこともあるのでひとまずここまでにします。
一応HARDでも一度クリアしましたが、エンディング等は変わらず。
本作はマルチエンディングですが、難易度によらず、
条件を満たしたかどうかで決まる2種類のみのようです。


攻略についても少し書いておくと、上記の通りだいたいのボスは
パターン化できるようになってるので、自分で試行錯誤しましょう。
私は最終面の4匹目の中ボスだけパターン化できず
毎回ダメージ受けながら倒してます。
他にも回避がシビアなボスはいますが、少なくともNORMALなら
練習すれば安定してクリアできるようにはなるはず。
人間状態だと道中も含めて緻密にパターン化する必要あり。
その過程が楽しいゲームです。


道中はそこまで難しいところはないですが、
3面は列車外の地面に落ちると即死なので注意。
被ダメ時のノックバックで落ちがちなので、慎重に。
4面の崩れる橋は、緑形態以外なら橋の手前から
ずっと下+Bの高速移動をしていれば無傷で抜けられます。
ただしHARDではこの抜け方は通用しないので注意。
5面最後の炎の橋で足場が落ちるところは、
落ちる足場の上から落ち着いて対岸の敵を倒してから進む。
足場の落下速度が遅いので、急いで進まなくても十分間に合うはず。


最後にグッドエンディングの条件について。
クリスタル取得で魔獣に変身する機会が4回ありますが、
そのうち最初の3回で毎回異なる色を選択し、
3種類全ての魔獣に変身しましょう。
すると、4つ目のクリスタルに変化が……?
そこから先は君の目で確かめよう!
君は娘を救えるか、それとも……。


と、攻略本風にまとまったところでこの記事も終わりにしたいと思います。
いいゲームでした。