追悼 水木しげる先生

漫画家の水木しげる先生が亡くなられました。
私はそこまで多くの作品を読んでるわけでもないんですが、
それでも、水木先生の漫画から受けた影響は大きかった。
なので、何か書こうと思ったんですが、文章がまとまらないので
以下、とりとめもなくいろいろ書きます。


拙作The Soul of Draculaのラスボスのデザインは
鬼太郎の「魔女ジニヤー」に出てくるジニヤーの親父が元ネタです。

↑「水木しげるコレクションII ねずみ男ゲゲゲの鬼太郎」より。
もっとも、このジニヤーの親父自体、水木先生らしからぬデザインなので、
さらにどこかに元ネタがあるのかもしれません。


水木先生のデビュー作といわれる「ロケットマン」は、
私も最近読んだんですが、ヤバイくらい面白いので皆さん読みましょう。

↑「水木しげる漫画大全集 貸本漫画集1 ロケットマン他」より。
もうこの扉絵だけで面白すぎる。


水木作品は、鬼太郎もいいんですが、短編作品の方がキレがあって
好きなものが多いです。
錬金術」という短編があるんですが、これが大好きで。

↑「水木しげる妖怪まんが集1 ねずみ男の冒険」より。
丹角先生(ねずみ男)の教えにより錬金術の実験に傾倒する一家の話。
ネタバレになるので多くは言えませんが、
最後のコマに漂うどうしようもない寂寥感が身に染みる。
この世の無情。人生の意味。傑作です。


「一陣の風」もいいよなあ。
今読み返すと割とアッサリした話なんですが、
最初に読んだときになんだかやたら印象に残りました。

↑「水木しげる 妖奇 貸本・短編名作選 人魂を飼う男」より。
サラリーマン山田の悲哀。人生の厳しさ。


自伝系の短編も別方向にスゴいのが多い。
「なめちゃん」は衝撃でした。

↑「ビビビの貧乏時代 いつもお腹をすかせてた!」より。
抱腹絶倒モノ。ぜひ読んでいただきたい。どこまで事実なんだろこの話。
この本の目次にも「フィクションです」って断り書きがついてますが……。


そうそう、「糞神島」も紹介しておこう。
糞を神と崇める島に文明をもたらそうと奮闘する教師の話。

↑「水木しげる妖怪まんが集6 怪奇館へようこそ」より。
「先生、神様がコウモンからお出ましになりますーっ」
これ以上説明は要らないだろう。読むべし。


手塚治虫をはじめ、天才と称される名作漫画家は多いですが、
水木先生はそういう天才肌の方々とはちょっと違うと個人的に思うんですよね。
同じネタを何度も使い回してるし、パクリみたいな作品も多いと聞きますし、
(古い時代の作品を今の視点でパクリと断ずるわけにもいきませんが)
ただそれでも、とにかく苦労を重ねて、ひたすらがむしゃらに努力して、
それで“天才”と呼ばれる人たちと同じかそれ以上に評価された人、
という印象があります。天才を凌駕した凡人。凡人の頂点のような人。
……いや凡人ってのも違うか。
なんと言えばいいのか、こう……ええと……つまり……


『妖怪』。そう、妖怪だ。水木サンはやっぱり妖怪だった。
唯一無二の大妖怪、水木しげる先生。本当に偉大な方でした。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


最後に、上で画像を張った書籍の紹介リンクを貼っておきます。
私の家にあるのは古いものも多くて、今買える物とは
表紙やタイトルが微妙に違ったりしますが、内容は同じはずです。
みんな、水木しげるを読もう。

ねずみ男の冒険 (ちくま文庫―妖怪ワンダーランド)

ねずみ男の冒険 (ちくま文庫―妖怪ワンダーランド)

怪奇館へようこそ (ちくま文庫―妖怪ワンダーランド)

怪奇館へようこそ (ちくま文庫―妖怪ワンダーランド)