第29回3分ゲーコンテストの結果について

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↑毎回注目しているプンゲこと3分ゲーコンテスト。
4/30~5/14までの投票期間で第29回が開催されていました。
毎回結果を受けてここにいろいろ書いてるので、今回も書きます。



最初に言っちゃうと、今回の3分ゲーはマジで良かった

20作品も出展されていながら似たような作品が一つもなく、
投票する側としてもどれに入れるか非常に悩ましくも楽しいコンテストでした。

以下とりとめもなくいろいろ書きます。

火曜日、ヒロインは朝食に何を食べたのか?


最初にいろいろすっ飛ばしていきなり下位の作品の話をします(したいので)。
『火曜日、ヒロインは朝食に何を食べたのか?』


この作品は正直、3位票があったら入れてたくらい気に入っているのですが、
結果見るとまあちょっとピーキーすぎたのかな……(笑)
いやでも印象票が4しか入ってないのもおかしいでしょ。
みんなあれ印象に残らなかったの!?!!?


と言いたいところですが、ひょっとするとプレイ自体があまりされてないのかもしれず。
投票者に対してはプレイするかどうかから任意なので、
プンゲ公式の紹介画像の見栄えなんかも票に響いてそうではあるよなあ、と。

上位の作品を見るとやはりそういう部分でも強そうなんですよね。


『火曜日、ヒロインは(略)』は、内容としては謎解きゲーなのですが、
これからプレイされる方はこれ以上の前情報なしでプレイした方が絶対いいと思います。
一応、私のネタバレ感想は↓こちらに書いておきました。イチ推し。
https://fusetter.com/tw/alyRHOd9#all


上位勢


3位の『気楽に遊べるミニ将棋盤ゲーム 将棋RPG』は、
ステージクリアで使える駒を増やしつつ進めていく、変則ミニ将棋。
堅実な面白さで、楽しませていただきました。


上位勢は紹介画像も強いと書きましたが、この作品は画像は地味めで(まあ将棋だし)、
むしろ『気楽に遊べる』『RPG』という敷居下げ用語(?)をタイトルに入れており
実際すぐ遊べるブラウザゲーなのが効いていそうなところかな。


というか上位勢は寝坊勇者も境界に立つもツギハギ防衛廠もブラウザ版がありますし、
やはりブラウザゲーは強いのか……と、そう考えると、
逆にDL形式オンリーで4位につけてるナインガールズサバイバーの強さも際立ちます。


『ナインガールズサバイバー』は、
それぞれ特徴あるプレイヤーキャラ3種類、アシストキャラ6種類を自由に組み合わせ、
ゾンビと戦い抜く固定画面2Dアクション。バリエーション豊かな戦闘が楽しめます。
パッド非対応のようですが、キーボードで無理なく操作できる作りなので気にならない。

狼佳さんのアクションゲームは毎回本当に面白いのですが、
個人的に、今作は輪をかけて熱中度が高いと感じましたね。2位票を入れました。


今回、私が1位票を入れたのが『境界に立つ』。
ご存じの通り私は2Dアクションフリーク(?)なので、
だいたい毎回アクション系のゲームに1位票を入れていたのですが……
今回は悩んだ末、プレイ時に脳みそが受けた「衝撃の大きさ」を決め手に
この『境界に立つ』に1位票を投じさせていただきました。


ゲーム性の薄いノベルゲームなのですが、とにかく雰囲気の作り込みが圧巻。
絵やテキストが良いだけではなく、音楽、効果音、それらが一体となった演出、
構成要素全てが、背後にある世界を感じさせる「表現」となっていて素晴らしい。
個人制作で、こういう方向性をここまで追求できるのかという衝撃。

この作品を前にして、「ゲーム性が薄い」とか
もうそんなんどうでもいいでしょと思わされる、
そのくらいのパワーがある作品でした。


そして、激戦を制して見事に優勝したのが『寝坊勇者』。
ツクール製のアクションアドベンチャー的作品。

世界滅亡の3分前に起床した勇者が、その残り3分で大急ぎであちこちを駆けずり回り、
仲間を集めてアイテム入手などでステータスを上げて魔王の城に突撃!します。


強制RTAみたいな急かされるプレイをツクールの4方向マス目移動でやるのが、
正直言うとあんまり私向けではなかったかなーと感じて
あまりやり込んではいないのですが、3分の中に詰め込まれた情報量が凄まじく、
ヒントをくれるNPCや移動をショートカットできるワープ魔方陣など、
高密度な作り込みがされているのは感じていたので納得の1位。
各所で話題になっていたのも頷けます。


5位『仮設 ツギハギ防衛廠』は、
数種類のパーツを組み合わせて防衛用のユニットを作り、
左から侵攻してくる敵軍から砦を守るタワーディフェンス
グラフィックや演出に紙工作的な世界観が徹底されているのが素敵。
8000点超えるまでやり込まれる方が出てきたりして、自由度の高さが印象的でした。


6位『創世機ツインフレーム』はお馴染みレトロジックさんの再現芸。
「90年代アニメのゲーム化作品をイメージした」という、
何やら込み入ったコンセプトですが、実際プレイすれば一目瞭然。
怒涛の既視感が押し寄せます。なんか見たことあるぞこれ!
フルボイスに主題歌付きという気合の入りようで、長い長いデモシーンを越えて
やっとプレイできる(笑)ゲーム内容の方もなかなか楽しめました。

ファイナルネコバとカルトぶちころアリーナ


7位の『ファイナルネコバ』は、ひたすら敵を倒し続ける一画面ベルトアクション。
ベルトアクションとしては大味で低難度ですが、敵をビシバシ殴るのは爽快ですし、
武器やアイテムの仕様を理解して戦略的に動けばクリアしやすいという攻略性もあり、
ちゃんと楽しめるゲームになっていると感じました。
プンゲにネコバが帰ってきてくれて嬉しい。


8位の『カルトぶち★ころアリーナ』は、
広い部屋で湧いてくる敵を倒し続けるスコアアタックFPS
近接武器でザクザク敵の首を斬り飛ばす爽快さと幅広い難易度設定で
多くの人が楽しめそうな内容でした。


これらもいつもならもっと上位に食い込んでいたのではと思えるほど
申し分のない作品だったのですが、今回は本当に様々な方向性で
クオリティの高い作品が揃っていたので、まあ仕方ないかなと。


『カルトぶちころ』の方は、スピンアウト元の本編『カルトに厳しいギャル』が
プンゲ開催期間中にSteamで発売されて既に3000本以上売れているそうで、
絶好調発進の話題作なのですが、それでもプンゲで勝てるとは限らないという事実!


Steamで売れてる作品でも勝てない。いやあ……いいじゃないですか!
ゲームの良し悪しは「ウン千本売れた」みたいな単純な話で決まるもんじゃねえんだよ!
みたいなマインドでやっていきたいし、たぶん作者のBhaskaraさんも、
動向を見ると別に今回の結果を残念がってはいないと思うので、また次回以降、
Steamでヒット飛ばしたインディー勢としてわからせに来てほしいですね(?)

そういう部分でも今回のプンゲは本当に楽しかったです。


あとちなみに、申し分なかったとか言いつつ
ファイナルネコバはさすがにクリアまで長すぎたので、
印象票と一緒に3分ゲーじゃない票(マイナス票)も入れました。あしからず(笑)

ノベル勢


今回は『境界に立つ』が本当に衝撃的だったのですが、
それ以外のノベル系の作品もバラエティに富んでいて勢いが感じられました。


戯曲『十五夜』は、選択肢のない純ノベル作品ですが演出が凝っており、
お話も綺麗にまとまりつつ、解釈の余地を残した余韻のあるラストで
完成度が高い。楽しませていただきました。


『画力よ上がれ!』と『駄目人間。2―落選編―』は、
ともにゲーム性というか娯楽性?よりも、どちらかというと実用的な知識や
現実に役立つメッセージ性をメインとした作品だと理解していますが、
ともすれば「ゲーム」としては敬遠されそうなこういう作品が
ゲームコンテストに出てくるのいいなあ、とか思いましたね。


メッセージ性メインとは言いつつ、『画力よ上がれ!』の方は、作画崩壊立ち絵や、
このテーマで作っただけのことはある主人公の最終形態(?)の高画力っぷりとか、
なんだかなんだでテーマ的に刺さらない人でも楽しめる要素があるのが良く、
このテーマで9位はかなり健闘したのでは。


『駄目人間。2―落選編―』の方は、もうお話自体が「賞が欲しい!」で始まるので、
それをコンテストに出してくるのは攻めてるというか何というか……(笑)

病院関連の話については個人的に非常に同意できる内容で、
調子悪いときは病院ちゃんと行こう、困ったときは誰かに相談しよう、
相談相手がいない場合は……みたいな具体的なことまで触れられてるのが好印象でした。
心身の健康に気を使いつつ無理のない創作を。印象票を入れました。


厳密には純粋な「ノベルゲーム」ではないかもしれませんが、
『○○ばんでぐちをみつけられるなら私の異変もみつけられるよね?』も、
3位票があったら入れたかったなと思わされるくらい気に入っている作品。

この作品もネタバレなしでプレイした方がいいと思いますので詳細は省きますが、
私のネタバレ感想はこちら↓に書きました。
https://fusetter.com/tw/XBtEisFv#all


3分ゲーのページのジャンル欄には「理不尽まちがいさがし」とあり、
実際、間違い探し部分に理不尽感はあるのですが、
その理不尽さがお話にも深みを与えているとも取れますので、一長一短かな。
楽しませていただきました。

Phantom of the Bunker


もう一つ、是非触れておきたいのが、本格FPSの『Phantom of the Bunker』。
10位以下の作品で唯一1位票が入っているということもあり、
これはたぶん刺さる人には刺さるゲームなんじゃないかなという気がします。
冷静に見ると素のクオリティが非常に高い。


ただ『カルトぶちころ』とは逆に複雑操作で玄人向けな硬派さに振ったFPSなので、
これをちゃんと評価できる層が3分ゲーのオーディエンスには少なかったのかなと。
かくいう私自身も例外ではなく。

多分それは作者さんも分かってらして、それでもこういった方向性の作品を
この完全アウェイの場に出してきてくれることには敬意を表したい。


前回私が応募して優勝した『GREDO』は、
見た目は硬派だけど中身は簡単操作でだいぶカジュアルに振っており、
どっちかというと客層に合わせて日和った戦略で勝った感じになってしまったので、
俺も次出るときは日和らずに6ボタンくらい使う硬派なアクションで出るぞ、
みたいな、自分も姿勢を正さねばという気にさせられましたね。
ありがとうございました。

最後に


『とれとれカードくん』は、提示される5枚のカードから、
お題に合ったカードを選んでいく2分間のスコアアタック。
シンプルなルールで気軽に楽しめます。


『KUMAPANTS』はシンプルなドットイートアクションで、
それだけではあるのですが、それだけのものとしてしっかり完成されており、
自作のグラフィックやサウンドの統一感にもこだわりが感じられます。
コミカルなキャラクター、凝ったCOFFEE BREAK演出等、楽しませていただきました。


『一枚麻雀(脱衣)』は、コマンドプロンプト動作というところにまず面食らいますが、
ゲームとしては「手牌が一枚だけの麻雀」的なルールで、同じ数字を2つ揃えれば勝ち。
さらに3回連続で勝てばおまけフォルダの解凍パスワードが開示されるという内容です。
ええ、なんというか……これR15にする必要ありましたかね!?
と、インパクトが抜群だったので印象票を入れました(笑)


『狐が拳!』は、ルール的にはほぼノーマルなジャンケンゲーム。
HSP製の習作的な作品という感じではありますが、
見た目はなかなかシュッとしており、音楽も自作なのが見どころ。


『シスターバーサーカー』は、動き回る敵を体当たりで倒す
いかにもな感じのツクール製トップビューアクションですが、
一般人を倒すと減点というルールが効いており、なかなか楽しく遊べます。


『Kさんばとる!ド・モルガン』は、やれやれさんの数字パズル。
オシャレな雰囲気が漂っていますが、やることはほぼ計算問題というギャップ(笑)
何か簡単に解く方法があるんじゃないかという気がしていたのですが、
数学的に完全な「解法」みたいのはない、のかな。


……ということで、簡単にではありますが、
結局全作品の感想を書かせていただきました。
何度も書いてますが今回は本当に楽しかったです。

ゲームジャンルが多彩なだけではなく、
パロディ、お役立ち、習作、実験作、AI絵、ガチ作り込み、カオス
と方向性も一切統一感がなく皆さん好き放題に作られていて、
本当に多彩な作品に触れることができました。


主催のやれやれ様、参加者の皆様、本当にありがとうございました。
次回は12月ごろに開催だそうで、また楽しみにさせていただきます。